蜂の子とザザムシの違い

昆虫を食べると聞いて驚かれるかもしれませんが、豊富な栄養源として古くから世界中で重宝されてきました。日本で食用昆虫といえば、蜂の子やザザムシが有名です。ここでは蜂の子とザザムシそれぞれの特徴や違いについてフォーカスしたいと思います。

食用昆虫としての特徴

蜂の子

蜂の子とは、ミツバチやアシナガバチ、スズメバチ、クマバチなどの幼虫やさなぎのことを指します。古くから世界中で、滋養食や貴重なタンパク質源として重宝されてきました。日本でも古くは岐阜県、長野県、愛知県、静岡県、宮崎県などの山間部を中心に貴重なタンパク質源となっていました。

ザザムシ

ザザムシとは、川に生息するトビケラ、カワゲラ、ヘビトンボなどといった水生昆虫の総称です。特にザザムシを食べる食文化をもつ地域は長野県の一部のみです。蜂の子と同じく、食糧難の時代に貴重なたんぱく源として、家庭料理などに取り入れられ食べられてきました。見た目は虫そのものなので驚きを隠せませんが、佃煮や醤油漬けの味はとても美味しく、高級珍味としても人気です。

栄養成分・効果・効能について

蜂の子の栄養成分

蜂の子は、文字通り人が生きていくうえで欠かせない必須アミノ酸9種をすべて含む理想的なタンパク質源です。必須アミノ酸は1種類だけ摂っても効果を示さず、バランスよくすべてのアミノ酸を摂取する必要があります。また、蜂の子には、健康維持や身体の機能に欠かせないビタミンB群やビタミンCといったビタミン類や、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄といったミネラルが豊富に含まれています。

蜂の子の効果・効能

蜂の子は2000年前に著された古代中国の薬物学書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』に、滋養強壮や不老長寿などの有効性と安全性がともに保証された、第一級の生薬として記載されています。現代の科学研究においても、滋養強壮のほか、耳鳴り、難聴、うつ病予防、美容など、蜂の子がもつ多数の効能が明らかにされています。

ザザムシの栄養成分

ザザムシが良質なタンパク質源であることは間違いありません。しかし、さまざまな水生昆虫を食品としたものであるため、はっきりとした栄養成分については明らかにされていないのが現状です。

ザザムシの効果・効能

ザザムシと呼ばれるものの中に、トビケラやヘビトンボがいます。これらは古くから漢方として利用されていました。ヘビトンボは子供の夜泣きに効くといわれますが、夜泣き自体病気ではないので、現代ではあまり用いられなくなりました。また、滋養強壮、解熱などの効能があるとされていたトビゲラも、副作用の心配があったことから漢方として使われることはほとんどなくなりました。食べられる地域が限定されており、様々な水生昆虫をまとめてザザムシと呼ぶことから、研究対象となることが少なく、効果についてはほとんどわかっていません。ただ、長寿の里として有名な長野県で食べられているため、今後の研究の進展が期待されています。

入手方法など

蜂の子

蜂の子には、甘露煮や佃煮の缶詰だけでなく、サプリメントとしても流通しています。蜂の子はその名のとおり幼虫の形そのものなので、サプリメントなどに加工されているものであれば、見た目に抵抗がある方でも無理なく摂取できます。また、多数の蜂の子に関連する製品がインターネットを通じて販売されています。代表的なものでは、生の蜂の子、冷凍の蜂の子、甘露煮や佃煮の瓶詰めや缶詰めなどがあります。

ザザムシ

ザザムシについては、佃煮や醤油漬けが高級珍味とされています。ただ、研究が進んでいないことや、需要の低下などのために、あまり流通しているものを見かける機会は少ないのが現状です。それゆえ、市場に出回っているザザムシは天然ものに限られ、たいへん高価です。

まとめ

日本の昆虫食で代表的な蜂の子とザザムシをご紹介しました。それぞれの特徴や違いについてご理解いただけましたでしょうか。古くからある昆虫食だからこそ、健康維持に欠かすことができない栄養素が豊富です。ご自身の健康のため、積極的に昆虫食を生活の一部に取り入れられることをおすすめします。

【参考URL】
中部地方で食べられる「さざむし」、「蜂の子」とどう違う?
https://www.iomlondon.org/zazamushi.html
昆虫食について
http://qktheatre.com/cn/

© 2018