蜂の子とうつ症状

蜂の子について

蜂の子とは蜂の幼虫や蛹を指し、主としてミツバチ、スズメバチやクロスズメバチ、アシナガバチ、クマバチなどが食用となります。古来より滋養食やタンパク源として日本を含め世界中で親しまれてきました。古くは2000年前の中国最古の薬物学書といわれるといわれる『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』にも、蜂の子が薬効と安全性双方において最高ランクに位置する生薬であることが記載されています。2002年にはアピセラピー(蜂の生産物の医療への応用)の分野で、世界30か国以上の医療従事者や研究者らの知見をまとめた学術記事が『ミツバチ科学』という学術誌に掲載されています。その記載に病後の回復、くる病、倦怠感、神経衰弱、心臓疾患、腎族疾患、精力減退に有効とあるように、蜂の子が古今を問わず注目される食材であることがうかがえます。ここでは神経衰弱とも関係が深いうつ症状に焦点を当てて蜂の子の有用性を探ってみましょう。

蜂の子はうつに効く

うつ病と神経伝達物質セロトニン

私たちの意欲や行動、喜怒哀楽は脳内の神経細胞同士が神経伝達物質を使って行うやり取りに端を発します。三大神経伝達物質と呼ばれるものにノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンがあります。ノルアドレナリンは 不快感や恐怖に関係します。 ドーパミンは快感や多幸感に関係します。セロトニンは脳が緊張やストレスを感じた時などにノルアドレナリンとドーパミン2つの分泌をコントロールして、私たちの脳に落ち着きと満足感をもたらします。
うつ病には様々な病態があるため、はっきりとした原因を特定することは困難です。ただ、うつ病患者特有の精神障害として、集中力が低下する、意欲がわかない、眠れないといった症状がよくみられます。それらは多くの場合、セロトニンの不足に深く関係します。それゆえうつ症状の処方にセロトニン分泌を増やす抗うつ薬やセロトニン分泌を促す栄養素が処方されます。
セロトニンはうつ病患者が抱える一つ一つの症状に働きかけ、症状を改善に導きます。しかし、抗うつ薬などには医薬品特有の依存性や強すぎる作用が心配です。できれば日常の生活の中で薬に頼らずセロトニンを増やすことが望ましいといえます。そのためにはどうすればよいのでしょうか。

蜂の子でセロトニン合成に必要な栄養素を

セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンを原料として脳内で合成されます。しかし、私たち人間は体内で合成できないトリプトファンを外から取り入れる必要があります。ただ、トリプトファンだけをどれだけ摂ってもそれだけではセロトニンの合成を促すことはできません。セロトニンを合成するにはさらに、ビタミンB6(ピリドキシン)、ナイアシン、マグネシウムが必要でどれか一つ欠けてもいけません。
蜂の子はセロトニンの合成に必要な栄養素をバランスよく含みます。炭水化物、脂質、タンパク質のほか、私たち人間の体内で合成できない9種すべての必須アミノ酸や、ビタミン類、ミネラルを豊富に含みます。ビタミン類にはビタミンB6とナイアシンがきちんと含まれています。ミネラルにはマグネシウムがしっかりと含まれています。

蜂の子で抑うつ症状が改善

蜂の子で抑うつ感が改善することが2011年の人を対象とした臨床試験で確かめられています。ここではその試験の概要についてお伝えします。
試験対象者には、耳鳴りから逃れられないかのような不安や耳鳴りを制御できないもどかしさ(抑うつ感)に悩まされる難聴患者が選ばれました。試験サンプルは蜂の子の栄養素が吸収されやすいように酵素によって分解された蜂の子成分(1日あたり720mg)です。試験ではまず60名の患者が2グループに分けられ、一方のグループには蜂の子を、もう一方のグループには蜂の子を含まない偽薬が手渡されました。(科学的な信頼性を担保するため)双方どちらを飲んでいるか分からない状態で12週間にわたって摂取が続けられました。その結果、蜂の子グループの患者において “耳鳴から逃れられないかのように感じる”、“全く耳鳴を制御できないと感じる”、“耳鳴のせいで憂鬱になる”、といった抑うつ感に関する問診項目への回答が摂取前よりも改善しました。(同グループでは難聴の改善も認められました。)
一方で、確かにこの試験では耳鳴りへの不安や憂鬱から抑うつ感を感じる患者を対象としているという制限があることは否めません。しかし蜂の子が難聴のストレスからくる抑うつ感を改善することを示した一つの貴重な知見といえます。これをきっかけに様々な条件で蜂の子がうつ症状に有効であることが検証されていくことでしょう。
うつ症状ではないにせよ、何らかのストレスや偏った生活習慣に悩まされているのであれば予防措置として蜂の子を摂ることをお勧めします。継続して飲めばストレスへの抵抗力がつくとともにうつ症状の罹患リスクを減らすことができます。

蜂の子との飲み合わせについて

蜂の子は健康食品やサプリメントの形で手軽に摂ることができます。ただし体内のセロトニンの効果を高める抗うつ薬と蜂の子とを併用する際にはご注意ください。セロトニンが増えてその作用が強まると、頭痛や吐き気、震えといったセロトニン症候群と呼ばれる副作用を引き起こすことがあります。ほかの内服薬との飲み合わせでも副作用が起きる可能性がありますのでご注意ください。蜂の子を試される前に医師に相談することをお勧めします。

蜂の子は規則正しい生活とご一緒に

以上のように、うつ症状に陥った時には脳内でのセロトニンの合成を促すことで症状を改善に向かわせることができます。セロトニンの合成にはセロトニン原料であるトリプトファンのほか、セロトニン合成を促すビタミンB6(ピリドキシン)、ナイアシン、マグネシウムといった微量栄養素が必要です。セロトニン合成を促すこれらの栄養素を豊富に含む蜂の子はうつ症状の改善や予防に非常に適した食品です。
うつ病対策には一方で、これまでの生活習慣そのものを見直すことが大変重要です。朝日を浴びることで私たちの神経のバランスが睡眠から覚醒へと切り替わります。そして日中、太陽光をしっかりと浴びることで、食事から摂った栄養成分からたくさんのセロトニンが脳内で合成されます。脳内にセロトニンが充足すれば、夜間に睡眠ホルモンであるメラトニンが十分に合成され質の良い睡眠が得られます。不眠が解消すればうつ症状の改善に向けて集中力や意欲向上のための土台も整います。
このようにうつ症状の改善には、セロトニン合成に必要な栄養成分を取り入れた上で、より良い生活習慣のサイクルを回し続けることが非常に重要です。バランスのとれた食事を摂ることはもちろん、うつ病対策と規則正しい生活は表裏一体の関係にあります。うつ症状の改善にご関心のある方は、ぜひ日々の生活習慣の見直しとあわせて蜂の子を継続的にお召し上がりください。

【参考URL】
蜂の子に含まれるセロトニンでうつ病や不眠症を解消
http://www.jamiessoftware.tk/depression-and-insomnia.html

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